災害時における心の在り方についてインタビュー形式にて掲載

アドバイス

「災害時における心の在り方」  酒井和夫氏インタビュー

酒井和夫氏
酒井 和夫 (さかい かずお) 氏
1951年東京都生まれ。
東京大学文学部卒業、筑波大学 医学研究科博士過程修了。
現在「ストレスケア日比谷クリニック」院長。オリコン・エンタテイメントより発売の書籍「患者が決めた!いい病院 2007年度版」内にてストレスケア日比谷クリニックが第3位に選出。

人間というのは多少の困難は力強く乗り越えることが出来るようにできている

酒井 今回の震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
被災地では徐々に復興が始まっているとはいえ、福島原発の問題など震災の余波はまだまだ続いていて、東日本では多くの方々が将来に大きな不安を抱いて毎日を送られています。
いつの時代でも大災害というものは世の中に不安を与えるものですが、歴史的にみれば日本の場合、ここ50年間というもの万単位で人が亡くなるような大災害はありませんでした。平和な時代が続いていたんですね。
それ以前の日本は常に戦争や疫病、大飢饉等を経験していて常に死と隣り合わせの時代でした。食べ物がなくなった終戦のときでもみんなヤミ市で生き延びていて、それが不幸だったかというとそうでもなくて、人々は互いに助け合い、むしろ明るく逞しく生きてきた。人間というのは本来、多少の困難は力強く乗り越えることが出来るようにできている、そう前向きに考えることが大事です。

復興 酒井 今回の震災によってご家族や家屋をすべて失った方々は別としても、毎日流れてくる放射能汚染等のニュース等で不安を抱く方々というのは自分の身にもいつ降りかかってくるか分らないという過度な心配が原因になっています。悪い方向にばかり考えてしまうんですね。
その意味で、不安を煽るニュースは精神的に良くないと思われるかもしれませんが、一概にそう言えないところもあります。

酒井 実は私のクリニックの患者さんでは反応がきれいに二つに分かれていて、今回の震災で戦う本能や生きる本能が刺激されてうつの症状が良くなった人というのも結構多いのです。先日もテレビでホームレスだった人が震災現場に出かけて、ドラム缶の廃材を利用したストーブを作って震災の人たちから喜ばれ、その後ボランティアの責任者として活躍しているという番組をやっていました。その人は震災を機に新しい人生の目的を見つけ生き生きとしていました。

酒井 一方、精神状態が悪くなる人の場合は、次に何が起こるか分からないという不安感や恐怖心が先走り、それが長く続くと心に強いストレスを抱えてしまいます。普通はショックを受けた時、人は自然に回復する力を持っていて2ヶ月くらいで回復していきますが、中には半年ぐらい続く人もいます。このような人は落ち込みや不安によるストレスが慢性の状態になって、そのままうつになる可能性もあります。ですので、このような人には人間というのは本来強い生き物で、日本の復興も多少時間がかかっても必ずうまくいくということを信じて前を向いて進んで欲しいですね。

<了>

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